Q.
養育費の不払いがあったため、あらかじめ作成していた強制執行認諾文言付離婚給付契約公正証書(=執行証書)に基づき元夫の給与の全部を差し押えようと考えていますが、そのようなことは可能ですか?
A.
給与については、債務者が生活できなくなるという事態を防止するという観点から、民事執行法上、差押禁止財産と位置付けられ、給与額(手取り)の「4分の1」までしか差し押さえることができません。
もっとも、元妻が元夫に対して養育費の支払義務に係る定期金債権を有する場合には、民事執行法上の特例により給与額(手取り)の「2分の1」まで差し押さえることができます。
そのため、あらかじめ作成していた強制執行認諾文言付離婚給付契約公正証書の中において請求債権として「養育費」という文言があり、その公正証書が執行証書としての適格性を有していれば、元夫の給与額(手取り)の「2分の1」まで差し押さえることができます。
なお、「養育費」という名目ではなく、「解決金」等の名目で養育費が支払われる場合には、上記の特例を受けることができず、原則どおり、元夫の給与額(手取り)の「4分の1」までしか差し押さえることができません。
(上記の特例を受けたいのであれば、公正証書中において「養育費」という文言を用いる必要があります。)