Q.
強制執行可能な公正証書(執行証書)とするために必要となる民事執行法第22条第5号の要件について説明して下さい。
A.
強制執行可能な公正証書(執行証書)とするために必要となる民事執行法第22条第5号の要件については、下記のとおりです。
(1)金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書であること(金額の一定性)
<ポイント>
⇒ 金額の一定性が求められることから金額が数字で明記されていること(ex.金1,000,000円)が必要となります。なお、利息、遅延損害金等利率及び期限が定まっている債務の場合には、公正証書自体から金額を算出できるため金額の一定性を満たすとされています。ただし、変動金利のように公正証書自体から金額を算出できないものについては、金額の一定性を満たさないとされています。
⇒執行証書は、「金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的」とした債務名義であるため、物の引渡し、建物の明渡し、不動産の移転登記手続等を請求することができません。これは、執行証書が裁判手続を経ない債務名義であり、誤って強制執行がなされても、原状回復を容易にできるようにするためです。
(2)公正証書に債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されていること(強制執行認諾文言)
<ポイント>
⇒ 強制執行認諾の意思表示は、訴訟外の意思表示ではあるものの、訴訟法上の行為と考えられています。ただし、民法上の意思表示の瑕疵に関する規定が適用されうるとされています(本来、訴訟法上の行為に関しては、民法上の意思表示の瑕疵に関する規定は適用されない。)。