Q.
公正証書作成において、同窓会、ボランティア団体、管理組合等の権利能力なき社団が債務者となる場合の留意点を教えて下さい。
A.
公正証書作成において、同窓会、ボランティア団体、管理組合等の権利能力なき社団が債務者となる場合の留意点は、下記のとおりです。
(1)公正証書における債務者の表示が権利能力なき社団の代表者個人となること。
⇒権利能力なき社団には、権利能力がないため、権利能力なき社団を公正証書上の債務者として定めることはできないため、代わりに権利能力なき社団の代表者を債務者として定めます。
具体的な定め方としては、「債務者権利能力なき社団〇〇理事長△△(以下「乙」という。)」といった形になります。
(2)公正証書上に執行対象財産を権利能力なき社団の構成員の総有に係る不動産等の財産に限定した執行制限契約条項及び強制執行認諾文言を規定する必要があること。
⇒権利能力なき社団の代表者を公正証書上の債務者として定めると公正証書が執行証書である場合、代表者の個人財産に対して強制執行がなされることになります。
そこで、公正証書上の債務は、代表者個人の債務ではなく、権利能力なき社団に属する債務であり、執行対象財産を権利能力なき社団の構成員の総有に係る不動産等の財産に限定した執行制限契約条項及び強制執行認諾文言を規定することになります。
なお、上記のように強制執行認諾文言の範囲を権利能力なき社団の構成員の総有に係る不動産等の財産に限定しないと債権者が権利能力なき社団の代表者の全財産を対象として強制執行することになるため注意を要します(ただし、請求異議の訴え等で争うことは可能です。)。
(3)公正証書作成時に団体規約等が必要になること
⇒権利能力なき社団が公正証書上の当事者となるときは、権利能力なき社団であることを明らかにする団体規則等が必要になります。