Q.
各種契約公正証書に規定されることの多い期限の利益喪失条項の類型について教えて下さい。
A.
各種契約公正証書に規定されることの多い期限の利益喪失条項の類型については、次のとおりとなります。
(1)請求型
⇒期限の利益喪失事由が生じた後、債権者の通知又は催告が行われたときに期限の利益を喪失するものをいいます。この類型では、期限の利益喪失事由が生じても当然には期限の利益が喪失せず、債権者による通知又は催告があったときに期限の利益が喪失し、債権者による通知又は催告がなければ期限の利益が実際に喪失しない限りにおいて、下記の当然喪失型と比べて債務者にとって有利といえます。
ex.「次の各号のいずれかに該当するときは、乙は、甲からの通知又は催告により期限の利益を失い、甲に対し、本件債務金〇〇〇万円(既払金があるときは、これを控除した金額)を直ちに支払う。」
なお、請求型における消滅時効は、通知又は催告があった時点から進行することになります。
(2)当然喪失型
⇒期限の利益喪失事由が生じた場合、債権者の通知又は催告を待たずに当然に期限の利益を喪失するものをいいます。この類型では、期限の利益喪失事由が生じれば当然に期限の利益が喪失し、債権者による通知又は催告が求められないことから、上記の請求型と比べて債権者にとって有利といえます。
ex.「次の各号のいずれかに該当するときは、乙は、甲からの通知又は催告がなくとも当然に期限の利益を失い、甲に対し、本件債務金〇〇〇万円(既払金があるときは、これを控除した金額)を直ちに支払う。」
当然喪失型では、債権者からの通知又は催告がなくても期限の利益喪失事由が生じれば、期限の利益が喪失することを明確にする観点から請求型とは異なり、「当然に」という文言が規定されることが多いといえます。
なお、当然喪失型における消滅時効は、期限の利益喪失事由が生じた時点から進行することになります。