Q.
強制執行認諾文言が付いた金銭消費貸借契約公正証書を作成する場合、金銭消費貸借契約が金銭の授受があったことにより成立する要物契約であるため、公正証書を作成する直前に金銭の交付がないと強制執行ができない公正証書となってしまうのですか?
A.
古い判例では、金銭消費貸借契約公正証書を作成した後に金銭の交付が行われた場合でも、その公正証書について、適法な執行証書として取り扱われたことがあります。
具体的には、公正証書作成後5日を経過した後に金銭の交付が行われた事案、さらには2か月を経過して金銭の交付が行われた事案のいずれにおいても、それぞれ有効と取り扱われています。
実際の取引慣行としても、金銭消費貸借契約の締結に加えて抵当権設定登記が行われる場合、その締結後に抵当権設定登記を完了させ、その後に金銭の交付が行われることが多いといえます。
もっとも、公証役場の実務では、強制執行認諾文言が付いた金銭消費貸借契約公正証書を作成する場合、その作成前に実際に金銭の交付が行われたのかが確認され(ex.振込の履歴)、その確認ができない場合には、諾成的金銭消費貸借契約として取り扱われ、強制執行認諾文言が付いた金銭消費貸借契約公正証書を作成できないことが多いといえます。